
アメリカの有名な歌手の方が公表されてましたね💧
とても怖い疾患であり、ワクチンや治療法に関してやはり多く周知される事が望まれます💦
1. Ramsay Hunt症候群とは
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)による顔面神経麻痺を主徴とする疾患であり、呼称はJames Ramsay Huntが1907年に自験例をまとめて報告したことに由来します。
小児期に罹患した水痘の口腔粘膜疹からVZVが逆行性に、あるいはウイルス血症によって顔面神経の膝神経節に到達後潜伏し、後年それが再活性化することで神経炎が生じ、腫脹した神経が骨性顔面神経管の中で自己絞扼を生じ顔面神経麻痺、すなわち顔面半側の表情筋運動障害が発症します。
加えて周囲の脳神経にも波及し、耳介の発赤・水疱形成や耳痛、難聴、めまいなどを合併する特徴もあります。稀に下位脳神経炎や脳炎をきたし、重篤化します。逆に顔面神経麻痺のみの症状のみで、臨床所見ではBell麻痺(原因不明の顔面神経麻痺、近年、単純ヘルペスウイルスが関与することが明らかになった)と鑑別が困難なものもあります。
2. 治療法は!??
ステロイドと抗ウイルス薬の投与になります。発症10日位を目安に麻痺の程度や電気診断学的検査をもとに予後を推定し、不良と診断されれば手術やリハビリを行います。
3. 診療上の問題点
Hunt症候群はBell麻痺と比較して一般に予後が不良で、自然治癒は30%(Bell麻痺70%)、初期から十分に治療を行っても治癒は60%(Bell麻痺90%)程度に留まります。
いったん罹患すると、麻痺が残存する可能性が高い点がBell麻痺と大きく異なります。
また病的共同運動(閉眼時に口が動く、あるいは口を動かすと同時に眼が閉じる)や患側の拘縮(いわゆるヒョットコの顔)が著明になり、麻痺そのものに加え、これらの後遺症と一生付き合わなければならなくなる可能性も高い恐ろしい疾患です。
顔面神経自体の変性は発症後も進行を続け7~10日で完成してしまいます。この時点で麻痺の予後が決まるわけです。
つまり発症後速やかに、かつ十分な治療を行い、神経変性を如何に軽減するかが治療の最も重要な点になります。
Hunt症候群は顔面神経麻痺から始まる例、耳痛や耳介発赤、水疱形成が先行する例、難聴やめまいが先行する例など、その発症形式は様々です。
4. 発症予防は可能か
Hunt症候群はいったん発症するとその約半数は完治せず、後遺症は患者にとって辛く精神的な負担が生涯にわたって続くわけです。
つまり発症させないことが最も重要な訳です。
膝神経節へのVZV潜伏感染は、水痘罹患時の口腔粘膜疹から顔面神経の味覚枝(鼓索神経)を逆行して生じます。
まずは水痘に罹患させない、つまり幼少児期の水痘ワクチン接種が予防に有効になります。
一方水痘既往のある成人においては、ウイルス再活性をきたさないことが肝要になります。
顔面神経麻痺患者のVZV特異的細胞性免疫能をIFN-γ enzyme-linked immunospot法(ELISPOT法)を用いて評価した報告の結果では、Bell麻痺では発症からの時間と細胞性免疫能との間に関連はみられなかったが、Hunt症候群では発症直後では細胞性免疫能は低く、時間経過とともに増加しました。水痘既往のある成人での発症を予防するには、水痘ワクチンの接種によるVZV特異的細胞性免疫能の強化が有効であると考えられるそうです。
水痘ワクチンは水痘や帯状疱疹のみならず、Hunt症候群の予防という点からも重要になってきます。
今一度、ワクチン接種を検討しましょう!
参考引用:感染症研究所、いらすとや
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