名前はよく聞かれるこの疾患ですが、原因は未だはっきりとはわかりません。
昔から考えられる原因としては
1)精神的ストレス
2)内分泌異常
3)自己免疫疾患
などが言われていますが、原因は不明です。
ただ、病態はそれなりに判明しており、多くは治療により改善が期待できます。
但し、一部難治性の円形脱毛症がある点と再発性がある点に留意が必要ですよ💦
発症年齢は30代までの比較的若い世代に発症することが多く、ときに学童期にも見られることがあります。
発生頻度は0.1~0.2%程度とされており一生を通じての発症確率は1.5%との報告があります。
女性が多いなどの性差はみられません。
円形脱毛症の合併症は、橋本病などの甲状腺疾患が8%、尋常性白斑が4%と合併率が高く、SLE、関節リウマチ、重症筋無力症、糖尿病などの報告もあります。
円形脱毛症は多因子性の遺伝性疾患であると考えられております。
特にアトピー疾患との合併率が高いことが知られており、一定数の家族発生の報告(8%程度)もあり、近親者に発症があるほど円形脱毛症の発生率も高くなる点も注意が必要です。
円形脱毛症の患者さんの家族も含めたアトピー素因の保有率は54%、患者本人のアトピー素因の保有率は41%であり、アトピー性皮膚炎そのものの合併は23%にあったとの本邦での報告があります。
さらに重症度とアトピー素因の保有率を比較した場合でも、多発型⇒全頭型⇒汎発型・蛇行型と重症化するほど、アトピー素因の保有率が高くなる傾向がありました。
脱毛した部位には、毛根周囲に白血球が集まっている所見が認めます。
つまり、自分の細胞が自分の毛根を攻撃しています。
その結果毛根が破壊されて、毛が抜けていると考えられています。
アレルギー性、自己免疫性のベースが考えられているわけです💦
ダーモスコピー検査ではこのようにスカスカになってしまいます
脱毛の範囲や症状により、
⚫︎全頭脱毛症(脱毛が多発し頭髪のほとんどが欠損)
⚫︎汎発型脱毛症(頭髪以外に眉毛やわき毛、陰毛なども欠損)
などにもなり得るので留意が必要です。
円形脱毛症の原因は不明ですが、別の病気の二次性変化で脱毛が生じることがあるので血液検査が近日されていない場合は注意が必要です。
女性では甲状腺疾患により脱毛することがあります。
多発する円形脱毛症、難治症例では
① 甲状腺機能
② 膠原病
の検査も必要になる場合があります。
3)円形脱毛症の治療にはどのような選択がありますか?
自然に治癒する場合もあります。
円形脱毛症治療は皮膚科学会でガイドラインが提唱されており確立している疾患でもあります。
少しわかりにくいにですが
以下で考えます。
①16歳以上と15歳以下に分かれます
②脱毛面積によって二つに分けれ、全体の25%以上の脱毛があるかどうかで治療選択が変わります。
つまり明らかに脱毛部位が拡大している場合はステロイド点滴パルス療法など入院治療を考慮する必要があるという訳です。
③進行しているのかどうか。
脱毛が進行している時には、まず脱毛自体を止める治療が必要です。
脱毛はとまり脱毛斑のみが認める固定期には、発毛治療を行います。
脱毛が進行しているかどうかの判断には牽引試験を行います。
引っ張って容易に脱毛するようなら進行期と判断しますが内服治療が必要になる可能性が高いです。
◉実際は内服や外用薬、赤外線治療を行い、反応不良であればステロイド局注を検討、難治性であれば入院も含め総合病院へ紹介させて頂きます。
◉局所麻酔の実際は??
ケナコルト-Aと局所麻酔を注射器で局注します。
目安は2週間から1ヶ月の間隔です。
○利点
統計上、発毛効果が証明されている数少ない治療で、多くの症例では、1ヶ月程度で発毛が認められます。
○欠点
局注時に疼痛があるので、小児の治療には使用できません。
長期間に及ぶと皮ふが薄くなるという副作用があります。
女性では生理不順が生じたり、妊娠中、授乳中の方には使用できません。
手のひら大より広い脱毛症には適応できません。
繰り返し局注した皮膚の脂肪が萎縮し凹んだ感じが残ることがありますが、通常は局注を終了すれば元に戻りますが、体質的に凹んだ感じがそのまま残る方がいる。
◉内服療法は??
進行期の円形脱毛症の治療にはステロイド内服が必要ですが、固定期の円形脱毛症の治療には別の内服薬が使用します。
①セファランチン
②グリチロン
③漢方薬
ストレスがあるとき:柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎
否定愁訴があるとき:加味逍遙散
神経質なタイプ :半夏厚朴湯
◉円形脱毛症の外用療法は??
①フロジン液
②ステロイド外用剤
などなどがありますね〜
◉他にも、赤外線療法スーパーライザー、紫外線療法、ドライアイス、ミノキシジル(市販薬)などなど他にも色々な選択肢がありますよ。
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